サポーターミーティング                             3−2

   〜デットマール・クラマー氏を迎えて

[サポーターミーティング]

日時:2007516日(水)19時〜20

会場:博多の森球技場1階会議室

参加:デットマール・クラマー氏、アビスパ福岡サポーター

司会:中倉一志氏

「クラマーさんを囲んで」その2.

クラマー氏 わたしの経験からですが。確かにファンクラブ(サポーター)との繋がりは強くそして確かにありました。

      現在、バイエルン・、ミュンヘンには世界中に10万人のファンクラブがあります。ファンクラブ(サポーター)は地域を

統制・供給していました。(=地域とともにある。地域に根ざしている、の意か?)

わたしは今年の1月のファンクラブの会合に参加出席しそこで話しをしました。

ドイツにはこういう言葉があります。「忠実なファン(サポーター)は、12番目の選手となれる」と。

 

ボルシア・ドルトムントは毎試合ホームゲームで81,000人の観客を集めます。

 

 ドルトムントはクラマー氏の生まれ故郷。  ドルトムントにあるブンデスリーガ1部のボルシア・ドルトムントは、リーグ戦優勝6回

 チャンピオンリーグにも96・97シーズンを制覇している強豪チーム。 前首相シュレッダー氏はドルトムントの熱烈なサポーターでもある。

 03・04シーズンの低調、04・05シーズンで債務超過に陥りクラブは経営破たん寸前まで凋落した。しかしスタジアムの命名権の売却

 や、若手育成システムへの転換などで苦境は脱しつつある。レヴィアダービーに下手な敗れ方をすると監督解任の憂き目に会

 うほど熱いサポーターが多い。

 


先週、シャルケ04戦が開催されましたがまるでその戦いは戦争のようでした。スタジアム全体が戦い意思が渦ま

いてました。サポーターは、最初から最後まで素晴らしい応援をしました。6万のボルシア・ドルトムントサポーター

は、シャルケ04のチームが恐れをなすような凄い応援をしました。

ドルトムントが1−0でゲームを制しましたが、このゲームでシャルケ04はチャンピンズリーグ出場圏内から脱落す

るかも知れません。脱落させたのは、ドルトムントのサポータ^です。

 

サポーターを味方につければ選手たちは大きな力を得、選手たちの100%の力をあと30

%更に引き出すようにサポーターが導き出すのです。

選手たちは、『恐れることなく、自信に満ちて、力強く』あり続けるのです。チームのサポー

ターは、選手たちに素晴らしい力になります。

 

勝ち続けていけば、応援することは簡単なものでしょう。これは心理的な分野の話ですが。

ある局面、選手たちはうまく行かないとき、自信がなくなりそうになる時があります。ところがサポーターの後

押しがあれば選手たちに自信とやる気が内面から蘇り、地から強く沸き起こってきます。

チームが勝ってるときはもちろんですが、チームが悪い状況の時こそ、サポーターの力が必要になるのです。

 

子供のことを考えてください。 そうです。ドイツでは悪い教育的な側面の例があります。

たとえば両親が「それをするな、やめろ!」「するんじゃない!」と全て批判的であったらどうでしょう?

学校の先生も一緒です。「してはいけません。何をしてるんですか、やっては駄目です。」と生徒に当たったらど

うでしょう?

フットボールのコーチも一緒です。全てに批判的で駄目だしばかりしていると、選手たちや、子供たちは何もでき

なくなり、自信が持てなくなります。

試合後に、ハーフタイムに批判的でネガティブさばかり前面に出すばかりでなく、まずは褒めることから始めて

みたらどうでしょう?

どんな選手も90分間悪いプレーばかりをするわけではない。そんな選手にも必ずいいところがある。

このプレーが良かった。こういうシチュエーションのこういう仕事ぶりが良かった、と。褒めてあげてください。

愛を持って。こういうことを続ければ、選手は目を輝かせ、あなたのことを好きになると思います。

しかし次の段階では、やみくもに褒めるばかりでなく、建設的で前向きな批判を与えなければいけません。

子供に対しても、選手に対しても、誠意をこめて伝えてあげなければなりません。

これとこれを変えなくてはならないと。

そして忘れてならないのは、悪い意見だけでなく、どうすれば良くなるか、伝えてあげなければなりません。

そして最後に良いところをほめてあげるべきなのです。

     

      今日、高校(東福岡高校)で松本育夫さんにお会いしました。松本さんのことは小さい頃から知っています。

      彼は色んなことに興味を持ち続け、それに自分を捧げるような人です。

      若い頃の彼は、「どうしたら自分は良くなるのか」「どうしたら成長できるのか」何度も聞いてきました。

      長沼、大木、釜本・・、そうそうたる日本サッカー界のメンバーです。47年も前から知り合ってる彼らに会うのが

      わたしは本当に楽しみです。

      60年にわたしが来た頃のチームは、最初はモスクワに0−10で惨敗しました。また1−8でドイツにも敗れました。

      悪いスタートでしたが。ベストを尽くし続ければ上に上がると信じていました。

 

      皆さん、ここにいる皆さんは、チームを取り巻く周囲に対して責任を感じてください。これをすればこうなる。

      これをすれば必ずこうよくなる。そうしていけば、やがて選手たちから頼れるサポーターになります。

      

      1946年世界大戦を終えてわたしはパラシュート部隊から戻ってきました。わたしはその頃から認識しているの

ですが、選手はどのくらいサポーターから影響を受けるかを。

06年WCでのドイツ代表の選手たちは若い選手が多く、いずれも素晴らしい選手たちばかりでした。

勝ち続けるチームの条件はいつも同じです。

1.チームスピリットがあること。

2.団体(集団)をまとめる力があり続けること。それが継続すること。

3.チームがひとつになること。チームワークとか一体感とかそんな生易しいことでなく、もっと力のある言葉

 強力な集団になること。

それがいいゲームをやり続けた理由であり要因です。

ドイツは、国全体がそのチームを愛していました。みんなが前向きにサポートしました。

 

わたしは心理学を学びました。しかし一番の教師(教え)は日々の生活の中にあります。

ちょっと有名になるとどんなにみんなのことを受け入れたとしてもエゴを殺すことはできません。これは数学

ではありません。(数値では測れません)一人ひとりのエゴを殺すことでチームは強くなります。

オフザボールのランニングはエゴを殺したことの象徴です。フットボールはお互いがお互いを助け合うスポー

ツです。一人ひとりがお互いを助け合うスポーツです。

良いチームはお互いを助け合うことを知っています。

(*筆者は06年の日本代表チームのことを思った。聞くところによると移動中の車の中でクラマーさんは日本

代表チームについて言及したという。「お金を集めることに執心し国内での強化試合ばかりしていては駄目

です。他の国々の代表チームはいずれもドイツやその近隣に出かけ、また国内だけでない強化試合でチーム

をひとつにする努力をしました。」と。)